2010年12月10日金曜日

宝島社、都内大型書店内に書店 読者の反応知るアンテナ?

 東京都内の大型書店に今月、特定の出版社が自社の出版物を並べた「書店内書店」が期間限定でオープンした。“出店”したのは、ブランドバッグ付きのファッション誌など斬新なアイデアでミリオンセラーを連発している宝島社(東京)。出版不況の中、出版社が読者の反応を直接知る試みとして、出版界から注目が集まっている。(戸津井康之)

 「新刊を出版したら、後は書店任せ。出版界の既存の流通システムに疑問を感じ、書店を応援するための手段の一つとして企画しました」。宝島社広報課の担当者は、書店内書店の意図を説明する。同社が今月1日から25日までの限定で設置したのは、大型書店「リブロ池袋本店」(東京都豊島区)地下1階の一画。100万部を超えたイヴ?サンローランのバッグ付き雑誌のトートバッグなどを洋品店の売り場のように飾り付け、一風変わった演出でアピールした。

 初日は、通常の3倍の売り上げを達成したという。同書店の矢部潤子?営業統括マネジャー(52)は「凝ったレイアウトといい、香りの演出をしたり、ふだんのブックフェアとは明らかに違う。“書店の新たな一面”をお客さまは楽しみに来てくれる。書店員にとっても勉強になります」と話す。

 この企画は、今年4月から5月にかけ、テストケースとして紀伊国屋書店福岡本店(福岡市)で実施。宝島社のブランドバッグ付き雑誌やベストセラー小説『チーム?バチスタの栄光』の著者、海堂尊(かいどうたける)さんの文庫シリーズなどを並べた特別コーナーが客の目をひき、「ふだん素通りしていくOLたちが立ち寄るなど客層が広がった」(同書店員)と、書店側にも好評だった。その後、宝島社でオープンする書店を募ったところ全国から応募が殺到したという。

 書店内書店には別の意図もある。「家電メーカーにはアンテナショップがあるのに、なぜ出版社にはないのか? 読者の反応をダイレクトに出版社が知る手段が今の流通市場にはない。書店内書店をアンテナショップ代わりとして使い、読者のニーズにかなう出版活動にも生かせたら」と同社の担当者は期待を込める。同社では「全国に広げていきたい」としており、成功例が増えれば、追随する同業他社も出てきそうだ。

【関連記事】
「日本の犬と、アメリカの犬は、会話できるのか。」宝島社
書籍 上期売上額1.9%減の5762億円 コミック?ムックは好調
MSの検索エンジン「Bing」、日本でも正式サービス開始
今度は「美容」で書店への新企画 宝島社
宝島社がファッション雑貨店風の書籍売り場「書店内書店」を展開
地盤沈下が加速する日本経済の取るべき作戦とは?


引用元:ロハン(新生R.O.H.A.N) 専門サイト

0 件のコメント:

コメントを投稿